3年間ありがとう

2001年2月17日
今日、私は高校を卒業した。

本当は、不安と悲しみと恐れで心が埋まってしまいそうで。怖くて怖くて仕方ない。
優しくて、大きな見えない何かに包まれていた
学院が大好きだったと、今思い知る。

嫌なことも、たくさんあった。
学校に行きたくなくなったことも。
どうしていいか、わからなかった事。
右も左もわからない女子校という今までと違う
世界に、私は一人で入学した。
知り合いは誰一人としていなかった。

でも、この3年間。
親しい友人がたくさん増えた。
傍から見たら驚かれるくらいの広さと浅さと
一部深くの友人がたくさん増えた。
職員室にも。
誰も知らなかったところから始めて。
ここまで、私はやってこれた。

だから、これから先も、頑張って行ける。
頑張れる。
母親に『怖い』と言って泣きついた受験も。
なんとか、本当になんとか乗り越えた。
『卒業』は嬉しさと哀しさの背中合わせ。

私は今日、笑って学院を出てきた。

式の途中にも、たくさん色々あったけど。
答辞や送辞については何も言わない。
『送別の歌』昨日のブーイング。
すごく残念だったけど、今日の2年は違ったね。
送り出されるんだ。
ああ、出ていかなくちゃいけない。
力強い歌声に、涙が出た。

『卒業の歌』前半。歌えなかった。
どれだけ歌おうとしても。式で泣いたのは初めて。
でも、隣の子の声が頑張っていた。
後輩や、両親が後ろから見ていると思うと
泣いていてはいけないと思った。
卒業証書を握り締めて、口を開けても
嗚咽が邪魔をする。
「ああ。ここで歌うのも今日が最後」
そう思うと、自然と声は出るようになった。
私が歌うことが好きだと知ったのも、
この学院に来てからだった。

退場する時は笑っていようと決めた。
前を向いて。しっかりと。

式場を出ると、担任が私を探していた。
『卒業証書授与』担任は私の名前を間違えて呼んだ。最後まで笑わしてくれる。
隣の子が慰めてくれたけど。
後から聞いた話によれば飛ばされた子もいたから、
まぁ…我慢できるよ。
他のクラスの子に、笑いも取れたし。

教室に帰って。最後の担任指導。
英語教師らしく、英語で指導。
苦手な英語も、野島先生のお蔭で少し好きになれた。授業中たくさん当てられても、答えられるようになった。ありがとう先生。

おじいちゃん先生なのに、頑張ってくれて。
嫌い嫌いって言っても、来てくれて。
めんどくさがっても、私たちを見捨てなかった。
イベントごとになれば嬉しそうにカメラを
かまえて写真を撮ってたの、知ってるよ。
先生の担任最後のアルバムを飾れたかな?

野島先生大好きでした。
2年間ありがとう。
みんなが嫌がったコーヒーと煙草の匂い。
実はそれも、大好きだった。
先生に会えて、本当によかった。

式の後、音楽室に行った。恒例の、追い出し会。
いつもの部活みたいにわーって集まって。
わーって何か騒いで。雑談。
サイン帳書いて、ゴロゴロして。
いつもと変わらないけど、いつもと違った。
「本当に今日卒業式?」
「いつもの部活とかわんないじゃん」
居心地のよかった音楽室。
施錠ギリギリまで、みんなで遊んだ。
楽しかった。本当にありがとう。

テニスコートの満開の桜。
仲良しの先生がいる大きな図書館。
根城になってた音楽室。
広い広い講堂。ミサの時のコーラスボックス。
大好きな場所も、今日でお別れ。
制服を着て、ここにくる事はきっともうないね。
膝下のスカートも、黒の革靴も。
指定の本皮鞄。ボロボロにした3年間。
楽しい想い出がいっぱいだった。

名残惜しいというのはこのことだろう。
でも、笑って。
笑って。学院の門をくぐったから。
笑って。学院の門から出ていった。
ありがとう。私の3年間。
ありがとう。たくさんの友達。
ありがとう。職員室の先生。
ありがとう。私の知らない見えない何か。

暖かい光りが溢れていた。
学院がやっぱり好きだった。

また、春の桜を見に行こう。

振り返ればいつでもそこで、見ててくれるから。
悩めば、戻ればいいから。
私はそう思う。
学院でまなんだ静寂の祈りのなか。
私は今日、卒業を迎えた。

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